カテゴリー別アーカイブ: キャンパス花便り

ハナゾノツクバネウツギ

Abelia × grandiflora (Rovelli ex André) Rehder

先月に続き、旧図書館跡に整備された地下駐輪場の上の広場で咲いている花です。アベリアやハナツクバネウツギとも呼ばれているスイカズラ科ツクバネウツギ属の園芸品種です。白というか薄ピンクの小さな花を付ける低木として、至る所の植栽に用いられています。学内では種月館の周辺にも植えられています。同属のコツクバネウツギは、西日本に自生をしていて、植生調査の練習の際に「対生スライム」と覚えると良いよと教わりました。一度聞くと、2 cmほどの小さな葉っぱが、スライムに見えてきたでしょう?

背景は、駐輪場の上に設置された書棚風のモニュメントです。図書館であったことを主張しています。

ガクアジサイ

Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser. f. normalis (E.H.Wilson) H.Hara

旧図書館跡に整備された地下駐輪場の上には、広場が設けられました。植栽も配置されていて、早速ガクアジサイが花を付けています。日本(関東地方の太平洋岸から伊豆半島、伊豆諸島・小笠原諸島)の固有種ですが、江戸時代にヨーロッパに広まって、多くの園芸品種が作出されています。目立っているのは、装飾花でその中央に細かな両性花が配置しています。なお、ガクアジサイの学名が長いのは、ヨーロッパに持ち込まれたアジサイの方に先に学名が付けられてしまったため。

セイヨウシャクナゲ

Rhododendron cvs.

3月に応用地理研究所のプロジェクトでブータンの研究者が来日しました。ブータンはシャクナゲの宝庫(中尾・西岡 2011)とされるだけあって、ドチュラの近くのRoyal Botanical Parkにもいろいろなシャクナゲが植栽されていました。

駒沢キャンパスには、緑の丘の植栽に園芸品種のセイヨウシャクナゲが植えられています。国内には、アズマシャクナゲやツクシシャクナゲなど在来種も自生しています。

ソメイヨシノ

Cerasus × yedoensis (Matsum.) Masam. et S.Suzuki

最初から余談ですが学名の最後にS.Suzukiと入っていますが、当然のことながら私は関係してしません。東京帝国大学植物学教室の松村任三教授がPrunus × yedoensisと学名を付けた後、サクラ属の系統を見直した正宗厳敬先生(正宗白鳥の弟)と鈴木重良先生によりCerasus属に移されてこのような命名者名になっています。

日本(というかたぶん世界)で一番多く、植えられているサクラです。江戸時代にエドヒガンとオオシマザクラ(ではなく、どうもオオシマザクラとヤマザクラの交雑種らしい)が自然交雑、あるいは交配してうまれた栽培品種です。そして、挿し木、接ぎ木を繰り返しているクローンです。

駒沢キャンパスには、8号館脇や禅研究館前などに植えられています。今年の開花は、私の目では3月28日。満開は、4月3日でした。気象庁の生物季節観測を代表する花でもあります。ちなみに気象庁発表の今年の東京(靖国神社)の開花は3月29日(平年より5日遅れ)、満開は4月4日(平年より4日遅れ)でした。先ほど触れたように、全てのソメイヨシノは遺伝子は一緒ということで、これほど生物季節観測に適した樹木はないのかなと思います。